キャリアアンカーにおける「専門能力（Technical/Functional Competence）」

キャリアアンカー：あなたのキャリアで本当に大切にするもの ではキャリアアンカーの全体像を説明しました。

この記事では、8つあるキャリアアンカーのうち専門能力（Technical/Functional Competence）に焦点を当てて詳しく説明します。

• 専門能力タイプが求めている仕事の特徴
• 求めている評価システム
• 求めている昇進システム
• 求めている承認のされ方
• 志向している仕事と生活のバランス
• まとめ

専門能力をキャリアアンカーとする人々は、特定の分野でのスキルや知識を活かし、成果を上げることに強いモチベーションを持っています。このタイプの人々が求める仕事には、以下のような特徴があります：

• 専門性が求められる役割：技術的または専門的な課題解決に焦点を当てた仕事。
• 高度なスキルを活かせる環境：自分の専門知識を深める機会があり、新しいスキルや知識を習得できる。
• チャレンジングな課題：簡単ではない問題や、既存の解決策では対処できないような状況を歓迎する。
• 自主性のある業務：詳細な指示を受けるのではなく、自らの専門知識を駆使して課題を解決できる自由がある。

専門能力タイプの人々は、自身の専門スキルが正当に評価されることを強く望んでいます。そのため、以下のような評価システムを求めます：

• 客観的で透明性のある評価：成果物や業務プロセスが、具体的な指標や基準に基づいて評価される。
• 専門知識に基づく評価：上司や同僚に専門分野の知識があり、その視点から評価されること。
• 成果主義的な要素：チームワークよりも、個人としての技術的成果や貢献が評価される仕組み。

専門能力タイプの人々は、組織内での昇進が必ずしも重要ではありません。それよりも、自身の専門性を追求できるポジションを重視します。求める昇進システムには以下のような特徴があります：

• 専門職としてのキャリアパス：管理職ではなく、シニアエンジニア、リサーチフェロー、またはスペシャリストなどの専門職キャリアが用意されている。
• 専門性を高める役割の拡大：新しい技術領域やプロジェクトに挑戦できる機会が増える。
• フラットな組織構造：縦の階層ではなく、専門性に応じて横に広がるキャリアパスがある。

専門能力タイプの人々は、自分のスキルや知識が評価されることに価値を置いており、以下のような承認のされ方を求めます：

• 専門分野での認知：社内外で自分の成果が認知されること。
• 同業者からの称賛：同じ分野の専門家や同僚から評価されること。
• 成果物へのフィードバック：単なる褒め言葉ではなく、具体的な技術的フィードバックやアドバイスを受ける。
• 形式的な認定：賞や資格、論文発表など、公式な形でスキルが認められること。

専門能力タイプの人々は、仕事と生活のバランスよりも、自己の専門性を追求することを優先する傾向があります。ただし、以下のような特徴も見られます：

• 仕事中心の生活：特にキャリアの初期や中盤では、仕事に多くの時間を割くことをいとわない。
• 柔軟な働き方の希望：自分のペースで専門性を深められる柔軟な働き方を好む。
• プライベートとの調整：仕事での自己実現が充実している場合、プライベートはそれを補完する役割にとどまることが多い。
• 燃え尽きへの注意：専門性追求に集中しすぎると、体調や精神的な健康を犠牲にするリスクもあるため、適度なリフレッシュを求める。

専門能力タイプの人々は、自らのスキルを発揮し、認められる環境で力を発揮します。彼らが最大限に能力を発揮するためには、専門性を重視した役割や評価システム、昇進の仕組み、承認のされ方が整った職場環境を提供することが重要です。また、仕事に情熱を注ぐあまり、生活のバランスが崩れないようにする配慮も必要です。